MENU

NIC BLOG

Voice of the Staff

USB Power Delievry

初めまして、LS事業部のガジェット好きなMです。
ネタは何でも良いと言うことなので、急速充電についてお話します。
日頃スマホを3台持ち歩いているため、課題となるが充電。

今回は急速充電規格「USB Power Delievry」通称USB PDについて紹介したいと思います。先日発売のiPhone 11 Proの充電器もようやくPD対応の物になり、話題になったり、またNintendo switchも同規格に対応していることから、聞いたことがあるという方もいるかと思います。

1.USB Type-Cについて

まずは、PDを使う為に必要なUSB Type-Cについて軽く充電に関わる部分のみ紹介。
Type-Cは従来までの規格と異なり非常に多くの電気を扱える様になり、最大100Wまでの電力の供給が可能となりました。

image1.png※USB-IF USB Type-Cケーブル及びコネクタの仕様より

表を見ても分かる通り、Type-Cという形状が同じでも規格によりに供給可能な電力量が異なるため、ケーブルに出力を判定する為の抵抗を使用する事が規格で定められています。

image2.png※USB-IF USB Type-Cケーブル及びコネクタの仕様より

Type-C登場当時、規格通りの実装がされていないケーブルが多数出回り、必要以上の電気が流れ、事故に繋がる危険がありました。界隈では騒動になり、有志によって各社から販売されるケーブルの抵抗の有無についてまとめ、安全であるケーブルが確認出来るサイトが登場するほどでした。

2.急速充電について

急速充電の定義としては様々ですが、ここでは、USB Battery Chage5V/1.5Aを超えるものという扱いをします。
近年のスマホのバッテリ大容量化が進む一方課題となるのが充電時間。

各社しのぎを削り、独自の急速充電方法を編み出した結果、多数の規格が乱立しました。例としていくつかの規格を紹介。(社名、急速充電ブランド名称、出力の順)

Apple、ブランド名称なし、5V/2.4A 
Qualcom、「QuickCharge」、9V/3A
Huawei、「SuperCharge」、10V/4A
ASUS、「BoostMaster」、9V/2A
OPPO、「Super VOOC」、10V/5A

 急速充電と一言に言っても多数の方式が有り、専用の充電器が必要で、機種変時には以前使っていた急速充電器が普通の充電器になってしまうと言うことも...

そんな中、登場したのがUSB-IFが提唱するUSB PD

一つの充電器でスマホからノートパソコンにも使え、数珠繋ぎにすることで、プリンタやディスプレイにも電力供給が可能という夢のような規格です。
USB PDでは安全対策も複数盛り込まれています。
従来より高電圧、大電流を扱うため、USB PDでは給電側、受電側で合意した電圧/電流(パワールール)を用いて、その合意に従って充電を行うのが最大の特徴です。。パワールールについては下記の表の用になっており、

image3.png※USB-IF USB PD仕様Version3.0 Revision2.0より

機器が充電器に接続された時、給電側は従来通りの5Vを印加し、その後給電側は自身が対応する電圧/電流を受電側に伝えます。受電側では自身が対応するパワールールが給電<=受電となるように返答をし、充電に用いられる電圧/電流が決定します。このとき、もしUSB PDに非対応の機器が繋がれても、供給側は返答が得られないのでそのまま5Vでの供給を続け、未対応機器へ高電圧、大電流が供給されるのを防ぐ仕組みになっています。

例としてMacBook Proの充電器でiPhone(8以降)を充電する場合を考えます。
 充電器は20V/3Aまでの出力に対応しています。iPhoneと接続すると、充電器はiPhoneに対し、自身の対応するパワールール5V/2.4A,9V/3A,20V/3Aを通知します。iPhone9V/2A18Wまでしか対応していないので、9Vが選択され9Vによる供給が始まります。
 なお、冒頭に触れたSwitchの充電器は5V/1.5A、15V/2.6Aの出力にしか対応していないため、スマホに接続しても5Vによる給電が行われるため、急速充電にはなりません。
 逆に、9V,15V,20Vをサポートし、60Wまで供給可能な充電器があれば、これらすべての機器を一つの充電器で賄うことも可能です。

 このように高出力の充電器であっても相手によって適切な電圧、電流が設定され供給される仕組みになっています。
またUSB PDによる充電で発生しうる異常として過電圧、過電流、過熱などが上げられるが、これらを検知した際には、保護機能により、給電を制限するように規格で定めており、規格通りの実装がされていれば、安全にかつ高速に充電が可能です。

 Androidでは以前よりQuickChargeが広く使われた事もあり、USB PDによる充電速度の向上に目新しさはないが、iPhoneユーザからすると付属の充電器が5W→18Wへなったことで、単純計算で3.6倍の速度で充電可能なことから、その恩恵は非常に大きいかと思います。

3.どんな充電器を買えばよいのか?

 現在普及しているスマホ向けであれば答えは簡単。現在市場にあるスマホ向けのPD対応機器であれば、パワールールを考えずおおむね使えると考えて問題ないといえます。心配であれば、パッケージに記載された出力値で9V/2A(Andoroidの一部機種では9V/3A)の記載あるのを確認することをお勧めします。
 しかし、スマホを超える消費電力の機器となると難しくなるのがUSB PD。基本的には大は小を兼ねるPDの充電器ですがMacBookの充電器のように15Vが含まれていない充電器が存在し、必ずしも大は小を兼ねるとは限らない事があり、またノートPCなどでは、15V,20Vというより高電圧の供給が必要なため、予備としてサードパーティの充電器を購入する場合は、パワールールについての理解が必要となることに留意が必要です。

 難しいところもありますが、スマホであれば容易に導入でき、充電速度も非常に高速です。対応機種を購入した際には、USB PDによる充電を体感してみてはどうでしょうか?

前の投稿 >

カテゴリ

このブログはNIC社員が定期的な(?)更新を行っています。
各担当者は普段の業務の合間をぬってブログの記事を作成していますので、日付順で表示した場合にはいろいろなカテゴリがごちゃまぜで表示されます。
カテゴリ別の表示をしていただくと、ひとつの流れとして読みやすくなると思います。

月別アーカイブ