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裁判員裁判を体験して

裁判員裁判を体験して

こんにちは、MS事業部のOです。

7月に裁判員に選出され、12日間(期間にして1か月)に渡って裁判員裁判を体験して感じたことを共有したいと思います。(NICでも初めてだそうです)

裁判員と聞くと、いつか来るかもしれないけど多分一生無いだろうと思っている方も多いと思います。実際、裁判所から裁判員名簿に登録されましたという封書が来るまでは自分も同じ思いでした。宝くじよりも確率が高いらしく、裁判員に選任された後、宝くじを買いに行きました。(もちろん外れました)

裁判員は、事件の内容から判決に至るまで聞き及んだ全てを秘匿するものだと聞いた事があるかもしれませんが、実は裁判自体は誰でも傍聴できるオープンな場なので、裁判内容(量刑を決めるプロセスは除く)は話しても良いそうです。むしろ積極的に周りに話して裁判員というものを広めてほしいとの事でした。自分もそのあたりの認識が無かったので少し拍子抜けでしたが、一生黙っていることなんて出来ないですよね。

裁判員に選出される一般的なプロセスは、以下のようになります。

  • 1.裁判員候補者名簿の作成:
  • 毎年秋頃、各地方裁判所が、管内の市区町村の選挙管理委員会が作成した名簿から、翌年の裁判員候補者となる人をくじで選び、裁判員候補者名簿を作成します。
  • 2.候補者への通知:
  • 11月頃、候補者へ名簿に登録されたことを通知する手紙が届きます。この手紙には、調査票も同封されています。この段階で約3000人が候補として挙がっているそうです。
  • 3.調査票の返送:
  • 調査票には、裁判員になることができない事情や、1年間を通じて辞退事由があるかどうかなどを記入し、裁判所へ返送します。
  • 4.事件ごとの裁判員候補者の選出:
  • 事件毎に、裁判員候補者名簿の中からくじで裁判員候補者が選ばれます。この時点で約300人程度に絞られているそうです。
  • 5.選任手続期日のお知らせ:
  • 選ばれた裁判員候補者には、選任手続期日の68週間前に、裁判所から呼出状と質問票が送られます。この時点で40人程度まで絞られているそうです。
  • 6.選任手続:
  • 裁判所へ出向き、裁判長から不公平な裁判をするおそれの有無や、辞退希望の有無・理由などについて質問を受けます。実際に会場に居たのは36人でした。
  • この手続きを経て、最終的に6名の裁判員と2名の補充裁判員が選ばれます。
  • 7.裁判への参加:
  • 選ばれた裁判員は、実際の裁判に参加して他の裁判員や裁判官と共に証拠の検討、評議を行い、評決を下します。この評議、評決の内容が秘匿事項となります。
  • 裁判員は裁判官と同じ権限が与えられるので被告や証人に対して質問することが出来ます。結構突っ込んだ内容でも問題ないです。
  • 裁判期間中、裁判官は名前で呼びますが裁判員は名前を明かさない為、最後まで番号で呼び合います。(何番さんどう思いますか?みたいな感じです)

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裁判員裁判の対象となる事件は、以下の様に社会に大きな影響を与え且つ厳正な処罰が求められる事件が対象であり、一般市民である裁判員が参加して裁判が行われます。

  • 殺人罪: 他人を故意に殺害した場合
  • 強盗致死傷罪: 強盗行為の際に相手を殺害したり、重傷を負わせたりした場合
  • 現住建造物等放火罪: 住宅や建物などを放火した場合
  • 身代金目的誘拐罪: 人を誘拐して身代金を要求した場合
  • 危険運転致死傷罪: 危険な運転によって人を死亡させたり、重傷を負わせたりした場合
  • 営利目的輸入等の薬物事犯: 営利目的で薬物を輸入した場合など

実際の裁判を体験して感じたことは、

  • 資料が多い: 検察官・弁護士が準備した資料が大量に配られます。(持ち帰ることは出来ません)
  • 裁判員ファーストである: 素人である裁判員に対していろいろと配慮してくれます。
  • 休憩が多い: 審議の内容にもよりますが、1時間毎に15分程度の休憩(休廷)が入ります。
  • 休憩中は意外と暇: 裁判員同士であまり会話が無いため少し雰囲気が暗いです。
  • スマホは持ち込めない: 法廷は撮影禁止なのでスマホやPCは持込めません。
  • 傍聴席は出入り自由: 夏休み中で学生が多かった気がします。
  • 判決は多数決になる事がある: 裁判官、裁判員で意見が割れたときは多数決で決めます。

裁判長から言われて一番印象的だったのは、事実に基づいて判断することが必要で、検察は判決を重くするために誘導しながら証拠を提示する事があり、検察側の主張に流されずに常に中立に判断する事が重要ということでした。

傍聴席は、朝からいろんな人が出たり入ったりしていて、その日の最後まで残っている人は少ない印象でした。裁判が進むにつれ、傍聴する人が少しずつ減っていくのですが、判決の日は関心が高かったのか満員だったのが印象的でした。

普通に生活しているとまず無いと思いますが、犯罪は意外と身近なところで起きていて誰でも加害者や被害者になりうるのだということを改めて感じました。

裁判を通じて判決を決めることで犯罪を犯してしまった人の人生も決めてしまう事の重さを経験することが出来ました。今後、裁判員に選任されることがあれば良い勉強になるので是非積極的に参加して頂きたいです。

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